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もうアテにはできない。
自分が率先して集客を頑張らなくてはならない。
中学生のころ、王宮を守っている父は 当然
私も王宮の戦士になると信じていた。
公務員は安定している。しかし時代は変わり、いろいろな職業が選べる時代になった。
『おい、ハリー。再来月に急遽、王宮戦士になるための試験があるらしいぞ。いまから勉強しておけよ。』
『いや、オレ・・・魔法使いになろうと思うんだ。』
『な・・・なんだと!魔法使いだと!』
『いろいろな呪文を覚えてみたいんだ。』
『バカな!呪文などそんなくだらないものを覚える暇があったら、改心の一撃の確率を上げる努力をしろ!』
『レベルが24になると、マホカンタという、敵の呪文を跳ね返す呪文が使えるようになるらしいんだ。
その方が王様を守ることに使えると思うんだ。もちろん住民も。』
『そんな女々しいことでどうする!男ならどんな呪文でも剣で・・・』
『じゃあお父さんはザキを剣で打ち破れるっていうの!?』
『ザキってなんだ?』
『ザキも知らないの?一瞬で息の根を止める魔法なんだ!剣なんか役にたたないよ!』
『なに!?息の根!!((((;゚Д゚)))) それはヤバイ!!
じゃあ魔法使いでいいよ!!マジで。ヨロシク!!』
まぁそんなこんなで魔法使いになったのだ。
しかし1人の力などたかが知れている。
魔法使いに養成塾。すばらしいビジネスだと思った。
しかしダーマの「自分は経営していたことがある」だの「知り合いに○○がいて・・・」などの話を、疑いもせずにそのまま信じてしまったことを心から悔いた。
口で言うだけなら誰でも言える。
必要なのは実績なのだ。
一緒にビジネスをするのであれば組む相手が本当にスキルを持っているのかを確認しなければならない。
とはいえ責めてもしょうがない。
とにかくお客を集める工夫をいますぐしなくてはならない状況だった。
銀行残高は100ゴールドを切っているのだ。
私は考えた。
100ゴールドしかない。
しかし生活費で、30日後には半分になっているだろう。
いや、飲むのが好きなダーマは、人脈づくりと称して飲み歩いている。
ほんの10日で半分になっているだろう。
金はかけられない。
じゃあできることは・・・頭を使うことだ。
オープン初日。来客ゼロ。
その夜、考えた。
まず、魔法使いになりたい人はおそらく来ない。
なぜなら本気なら魔法学校に行くからだ。
顧客属性は「護身術程度に学びたい人」だろう。
ではそういう人はどこにいるのか?
当てずっぽうに「護身術としてメラを覚えないかい?」
と声をかけたところで、そうそう見つかるものじゃない。
いざとなったらそういう覚悟も必要だが
もう少し効率のいい方法はないものだろうか・・・?
少し前であれば、街から外にでてモンスターを倒し
ゴールドを稼げばよかった。
しかし最近のモンスターはゴールドを持っていない。
得られるのは経験値のみで2年ほど前から
ゴールドは落としていかなくなっていた。
そのため多くの職業の人は自分で事業を立ち上げるスキルも必要になっていた。
しかしいままで戦いに明け暮れていた人たちに
いきなりビジネスのスキルを要求するほうが無理であった。
そこで「経営コンサルタント」という職業が生まれた。
宿屋であったり、道具屋であったり、武器屋であったり。
いままでは「商人」だった人たちが経営を教える仕事もしだしていた。
まさに私に必要な人たちだ。
1番近くにある、あまり流行っていなさそうな
コンサルタント事務所の門を叩いた。
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