さかのぼること4年前。
2002年2月。
会計事務所に勤めていた。
会社から帰ってから毎日2時間使い
「アクセス解析」システムを開発していた。
※子供がいなかったので、結構時間があった。
当時としては画期的な機能が実装されたものだったが
マーケティングを知らなかったため、お小遣い程度しか稼ぐことができなかった。
しかし経験は残る。
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話は戻り2006年7月。
『3度目の正直』とはよく言ったもので
私の3本目のソフトウェアはあっという間に
会社の給料を超え利益を生んだ。
そのソフトウェアはアクセス解析。
4年前に作った記憶がよみがえり、
『アクセス解析を作ってみよう!』と思い立ったのだ。
ちなみにこの次期バージョンが
『退職が決まったが、貯蓄がない』
という危機的状況を救うことになるのだが、それは1年後の話。
さて1本目のショッピングカート。
これはバグの大量発生と、需要がないことの気づきによって
ハードディスクの肥やしとなっただけで終わった。
2本目の自動返信メールシステム。
確かに完成した。
しかし機能が未熟すぎた。
私がお客さんの立場なら絶対に買わない。
面白くもなんともないシステムだった。
アイデアはあった。しかしそれを作りこむ技術がない。
Perl(パール)という比較的習得に時間がかかる(少なくても私は)
プログラミング言語を使ったことが災いした。
とりあえずセールスページを作ったのだが、
自慢できる機能が存在しないため非常に苦労した。
「強み」がまったくない商品。売れるわけがない。
そこで3本目の「アクセス解析」ソフトの開発に取り掛かことになったのだ。
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ある日曜日。
出来たばかりの「アリオ」というショッピングモールに
家族で遊びに来た。
1時間だけ考える時間をもらい、マクドナルドでアイデアを練る。
そのわずか1時間で画期的な機能を3つほど生み出すことに成功。
それらをすべて実装することに決めた。
開発は楽しかった。
失敗したとはいえPerlでの開発スキルはある程度身についていた。
しかしそれだけではない。「1ユーザとして楽しみ」なのだ。
画期的な機能の実現が楽しみで仕方がなかった。
その最たるものが『精読率』機能。
おそらくであるが、日本で最初の機能ではないだろうか。
とはいえ海外のソフトを真似したわけでもなく、
自分で思いついたものだった。
これは『訪問者がスクロールバーをどこまで動かしたか』を
グラフで見ることができるものだ。
たとえば
0% 15人
25% 60人
50% 35人
75% 15人
100% 5人
といった具合だ。
これを見ると「上から25%~50%の位置、ここを改善することで、
成約率があがる」ことがわかる。
なぜ思いついたのか?
自分自身がネットマーケティングで苦労していたためだ。
自作の音声CDを売っていたとき常に考えていたのが
『果たして訪問者は、セールスページを下まで読んでくれているのか?』
だった。
『開発ストーリーが面白くないのか?』
『その下の「商品の特徴」が悪いのか?』
『それとも価格表示部分?』
などを自問するだけだった。
しかし「精読率」機能で分析することで
改善点、逆に言うと「お客の逃している部分」が具体的にわかるようになる。
このアイデアを思いついたときは興奮した。
日本のネットマーケティングのあり方を変える、
画期的な仕組みだと・・・。
※ちなみにその1年後の新バージョンは「精読率」機能がかすむほどの強力な機能が実装された。それはまだあとの話・・・。
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開発は難航を極めた。
JavaScriptというプログラミング言語を使うのだが、
ブラウザによって動かいたり動かなかったりする部分が多い。
あるブラウザでは動くが、別のブラウザでは動かないことが何度もあった。
試行錯誤の末、なんとか動くようになったのだが過去2本のソフトと同じくバグが多発。
しかし今回はあきらめなかった。
この画期的な機能が実装されたソフトが売れないわけない。
そう確信していた。
もちろん「商品のクオリティ」だけでは物は売れない。
特に当時はSNSが普及しておらず、『いい商品は顧客が口コミしてくれる』も期待できない。
必要なのはマーケティングの知識なのだ。
ただそれは心配していなかった。すでに音声CDの販売である程度のノウハウは身についていた。
『この革新的な機能を、死ぬ気で身に付けた マーケティングの知識に乗せればきっと売れる!』
そう信じて疑わなかった。
2006年6月中旬。
『アクセス解析の達人』は完成した。
セールスページを3日で作り、準備完了。
王道だとここで広告出稿ということになる。
ネットマーケティング系のメルマガは多かったため
ここに出稿すればそれなりに反応が得られるのは間違いない。
しかし・・・銀行の預金残高は底をついていた。
1万円の広告を3回ほど出せば終わり。
それ以降はお金を使う施策はできなくなる。
『なんとか少ないお金を、効率的に使いたい』
そこで選んだ方法とは・・・。