デジタルプランニング株式会社

マーケティングに新発想を

あるfacebook依存症の男の話

約10分

1時間は費やしたであろうか。
一生懸命に書いた文章。

それが48時間後には、この世に存在しないのと同じになってしまうなんて・・・。

そんな大事なことに、なぜいままで気が付かなかったのだろうか。話は48時間前に遡る。

#そうならないためのセミナーを10月8日に開催します。
http://1st-biz.net/20121008s/

#新作ソフトの制作発表+モニター募集も兼ねているので、
#15名という小規模です。

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いま大流行のfacaebook。

私は知っていた。

このブレイクは一時的なものであり、3年後いや1年半後には収束している。そう信じている。
しかしそれまではこの流行り乗るべきだ。もともとネットには詳しい方ではない。
人に聞かれれば間違いなく「苦手です」と答えるだろう。

さすがにホームページは持っている。業者に20万円で作ってもらった力作だ。

しかしブログやメルマガなどは一切やっていない。

性に合わないのだ。

普段仕事で忙しいのに、それに加え毎日のように
「今日は会議がありました」などと近況を報告するなど
無理な話だ。

ずっと昔「ブログが凄い」と知人から聞き
「アメーバブログ」とかいうやつで、開設だけはした。

いまも一応残っている。

しかしホント1ヶ月、回数にして5回ほど投稿しただけで
終わっていた。

記憶をたどり、そのブログを見てみる。

『お、あったった。』

最終更新日:2007年4月21日

『もうそんなになるのか・・・』

一応最新のIT情報に興味はある。

雑誌も読んでいるし、新聞にそれっぽい記事があったら
一応、目を通している。

セミナーがあればできるだけ顔をだすようにしている。

そしてそれは無駄ではなかった。
facebookのブレイクを肌で感じることができたのだ。

ブレイクのきっかけは「ソーシャルネットワーク」という映画の公開。
そしてその公開に先立って「週刊ダイアモンド」で特集されたことだ。

2011年2月、私はfacebookを始めた。

以前ちょっとだけやっていたmixiに比べて
殺風景だし、仕組みがよくわからないし、
とにかく「よし!本腰入れてやってみよう!」とは思えなかった。

そしていつものように半年ほど放置していた。

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2011年秋。

facebookのことなどすっかり忘れていたある日。
私は知人の紹介で、「ソーシャルメディアをビジネスに活用する」
というテーマの勉強会に参加した。

セミナーではなく、勉強会。交流が中心であり、楽しい時間を過ごすことができた。

名刺交換を20人くらいとしただろうか。

そのうち半分くらいの人から
「facebookやってます?」
と聞かれた。

私は少し恥ずかしいと思いながらも

『一応やってますが、アカウントをとっただけで、何をしていいのかわからなくて(笑)』

と答えた。

意外なことに

『そうですよね!私もよくわからなくて・・・』

という返事が多かった。

そう。私だけではないのだ。
みんなあの殺風景で難しそうな画面デザインに抵抗を感じていだ。

ただほとんどの人はアカウントは持っているらしいので
飲み会の席で友達申請をした。

翌日、私のfacebookに対する思いは一変した。

『確かに面白い・・・』

そう。面白いのだ。
面白くないと感じたのは、投稿しても反応がないからだ。

たとえば

『今日のランチは回転寿司。』とだけ書いて写真を投稿。

これだけで、いいね!数が10程度となり
2、3人からコメントがつく。

mixiの面白さは足あとにあった。
いまはその機能はスパムの温床になるということで廃止されたが
人は「反応」を求めているのだ。

それからすっかりfacebookにハマっていった。

昔の友人や取引先、同業者などの知人に友達申請をし
またセミナーや勉強会で知り合った人たちにも友達申請。

わずか3ヶ月ほどで100人の友達とつながることができた。

10以下だったいいね!数も、いまや20を超えるのが普通になっていた。

あるセミナーで聞いた「ノウハウを投稿するといい」を実践すると
ごく稀に「シェア」をしてくれる人も現れた。

シェアによって私の存在が、面識のない人にも知られて
全然知らない人から友達申請が来るようになった。

私も同じように、面白そうな記事があると積極的に友達申請をしていった。

その結果2012年にはいった頃には、友達数が500人を超えていた。

その数に比例してはいないが、いいね!数は50を超えることも多くなっていた。

私は完全にfacebookの虜になっていた。
面白くて仕方がない。

  • 旅行の写真を投稿するといいね!が多めにつく。
  • その際、綺麗な写真だとさらに多い。
  • 子供の写真だと普段の2倍程度となる。
  • お昼ごはんの写真は、だんだんといいね!がつかなくなる。

そんなことを感覚的に感じ取っていた。
そのノウハウを投稿することでたくさんシェアされ、
さらに友達申請が増えていった。

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『何かおかしい』

2012年夏。
faebookを本格的に始めてから1年近く経とうとしている。

確かに交流は増えていった。
facebookがなかったら知り合えなかったであろう人とも
頻繁に飲みに行くようになっていた。

知り合いは増えた。それは本当にすばらしいことだ。

しかし・・・当初の目的はそこだっただろうか?

ビジネスに使える。そう聞いて始めたのではなかったか?
飲み友達が欲しかったのか?

この1年間、毎日1時間以上facebookに費やしていた。
時給2000円で計算したとして、一日2000円。
365日で73万円となる。

73万円・・・果たしてそれに見合う売上を得てきただろうか?

いくら考えでもfacebookで売上をあげた記憶がない。
ゼロだ。

友達は増えた。しかしfacebookは私から時間を奪った。
そしてそれは、今後も続いていくだろう。

・・・これで本当にいいのだろうか?

─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─

月に1度くらいだろうか。
無性に貴重なノウハウを書きたくなる。

1時間かけて500文字に以上にも及ぶノウハウを
facebookに投稿した。

2012年夏。

予想通りいいね!数は100を超えた。
10人くらいシェアしてくれたのが大きかった。

投稿した日は、いいね!が増えていくのを見るのが楽しかった。

時間の無駄なのは知っていたが、いいね!が増えるたびに
facebookに目が行く。

『これじゃ駄目だ』

また時間が奪われた。

しかしそれよりも深刻な事態に私は気がついていた。

2日程度経つと、いいね!がまったくされないのだ。
いや、投稿してから6時間ほどでいいね!の増加が鈍化していき
10時間後にはほとんど増えなくなっていた。

つまり500文字のノウハウは、わずか24時間程度で
誰の目にも触れなくなったことになる。

『1時間かけて書いた500文字の濃いコンテンツ。わずか2日でゴミ扱いか・・・』

私は愕然とした。
こんな無駄を、今後も続けていくのか?
いつまで続けるのか?
時間の無駄なのではないか?

そう気がつくと、facebook熱は急速に冷めていった。

いままでの興奮が嘘のように
私はfacebookにログインするのを辞めた。

1週間後、驚くべきことが起きた。
自分がfacebookに疲れていたことに気がついたのだ。

何度か海外では問題になっているらしい『facebook疲れ』。
日本でも『mixi疲れ』というワードを、数年前に何度か耳にしたが
まさに私がそれになっていたのだ。

この1週間、ものすごい集中力で仕事が進む。
いままで『投稿しなくちゃ』と、いつも頭の片隅になった。
ランチに行っても、カフェに行っても、旅行に行っても、飲みに行っても
常に「アップしなければ」と考えるのが癖になっていた。

しかしいまはどうだろう。
いまこの瞬間を大事にするようになっていた。

私はますますfacebookから遠ざかっていった。

─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─ ◇ ─

2012年10月。

まさに3週間ぶりにfacebookにログインしてみた。

理由は特にない。
ただの興味本位だ。

2度ほどパスワードを間違えてしまい
『もしやアカウント削除か?』
と焦ったが、勘違いだった。

3週間ぶりではあったが、特に変化はない。

以前のように友達の投稿がニュースフィードを埋めていた。

何気なく自分のタイムラインを眺める。

ふと、あの500文字のノウハウ投稿が目に留まる。

『いいノウハウだと思うんだけどな・・・』

そして

『もう一回、投稿してみようかな』

と半分冗談で呟いてみた。

そうすれば、そこから2日程度はまたみんなにみてもらうことができる。
それほど自信があったのだ。

『あれ?これって・・・』

あることに気がついた。

『ブログじゃダメなのか?』

ブログは性に合わないと言いながらも
faebookでは頻繁に投稿している。

「性に合わない」というのはもしかして思い込みなのかもしれない。

単に反応があったから楽しく、反応がないと楽しくない。
それだけのことではないのか?

私は以前やっていた「アメブロ」にログインしてみた。

最終更新日:2007年4月21日

5年半更新されていないブログ。

ここにこの前facebookに投稿した
500文字のノウハウをコピペしてみた。

単純なコピペだ。

それだけではと、facebookにブログへのリンクを投稿してみた。

『お久しぶりですね!』

そんなコメントをたくさんもらい、
それらに対して返事コメントをしていった。

2日後、いいね!数は50程度で止まった。

『3週間休んだけど、50は超えるんだ。』

以前のように毎日近況を投稿するのに興味はなかったが、
3日に1度程度であればいいかと割り切り、
濃いノウハウだけを投稿していった。

当然アメブロにも同じものをコピペしていく。

せっかくのコンテンツ。2日でゴミ箱行きは勿体なさすぎる。

2ヶ月後、アメブロの記事数は20を超えていた。

ふと思いたち、アクセス解析を見てみる。

『これはどう見るんだ?』

いままでアクセス数など気にしたことがなかったが、
どうやらブログに来てくれた人数や、
どのサイトから来てくれたかを見ることができるらしい。

アクセス数を見た時、目を疑った。

128

そう表示されていた。

つまり昨日1日で128人が
私のブログに来てくれたことになる。

『意外と読まれてるのか・・・』

facebookでは、いいね!数しか指標がない。
ブログだといろいろなデータを見ることができた。

データを見ていると興味深い事実があった。

どうやら過去に投稿したノウハウが入り口となり
たくさんのアクセスが生まれているらしい。

facebookであれば2日程度でゴミ箱行きになっていた投稿が
ブログだと半永久的に、検索エンジンからアクセスを呼び込んでくる。

それはまるで磁石のようだった。
1つ1つの記事は小さい磁石なので少ししかアクセスを呼び込んでくる効果しかない。
しかし10記事、20記事と集まることで、トータルとして128アクセスとなっているのだ。

過去に頑張って書いた記事。それがすべて「資産」としてブログに残り、検索エンジンからアクセスを呼ぶ。

facebookとブログ。
最適な相性なのだ。

facebookに投稿した内容は、facebookにログインしなければ見られない。
従って検索エンジンからのアクセスはゼロだ。一切来ない。

ただつながっている友達に見てもらう効果はある。
それはそれで効果的だ。

ブログは逆に、検索エンジンからのアクセスが期待できる。

facebookとブログ。この両方をやるべきなのだ。
一見すると大変なようだが、基本的にはfacebook投稿のコピペで問題ない。

1つの記事が、facebookとブログという2つのメディアで活きるのだ。

しかし・・・一ヶ月後、とんでもない自体が起きることになる。

(続く)