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スプリットテスト~今日の晩飯もスライムか: 魔法使い養成塾の立ち上げ方 その5

約5分
スプリットテスト~今日の晩飯もスライムか: 魔法使い養成塾の立ち上げ方 その5

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『お前はモンスターも倒さないで
そんなくだらないことをやっているのか!?』

実家に帰った時からずっと父が怒鳴りまくっていた。

『お前は冒険者になりたいというから
王宮戦士の試験を受けなくてもいいと言ったんだ!』

『もちろん冒険もするよ。魔王はそのうち倒さなければならない。
でもそれには資金が必要だし、なにより
魔法使いの素質がある人に出会えるかもしれないじゃないか。』

『そんな悠長なことでどうする!』

『結果的にはその方が早いと思うんだ。』

『なるほどね・・・わかったよ。頑張ってね!』


『マッチ程度の魔法?』

battleeffect024父の次は、ダーマを説得しなければならなかった。

『そう。それを無料セミナーとして開催するんだ。』

『告知は?前にも言ったけどチラシを印刷するお金なんてないんだ。』

『しっかりした綺麗なチラシは作らない。小さな紙に手書きで書く。もちろん白黒印刷だ。これだと安いだろ?』

『そんな・・・家族経営のパン屋じゃないんだから・・・カッコ付かないだろ。』

『いまはそんなこと言っている場合じゃないだろう!?金がないんだよ!誰かさんが飲み歩いているせいでな。』

『なんだと!それはオレのことか!?』

『そうだ!他に誰がいるんだ!?』

『そうだよね。オレだよね (*ω*)テヘ♪

『さっそくチラシ作るから。』

『オレの知り合いに、安く印刷をしてくれる奴がいるけど。』

『いやいいよ。白黒の大量印刷だとそもそも安いから。』

さっそく形ばかりの事務机に座り、小さな紙に手書きで案内文を書いた。

 

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さてどっちがいいだろうか。

ダーマに聞いたところであてにならないだろうし・・・。
オルデカに聞いてみるか。

いや両方作って、どっちのチラシからの申込が多いかカウントしてみよう。

何かの本で読んだ「スプリットテスト」というやつだ。

一度、反応がいい方がわかればそれを使い続ければいい。
仲間に聞くより、お客に聞け!ということだ。


『結局バラバラになって汚くなるだけなんだよねーチラシって。』

チラシを置いてもらうお店を一軒一軒あたったが、すべてにおいて反応が悪かった。
そりゃあそうかもしれない。

いきなり訪ねてきて、その人が塾をやるから
チラシを置いてくれなんて言われてもすぐに首を縦にふるなんて期待するほうが悪い。

うなだれながらオルデカの家に向かった。

『チラシを置いてくれる店知らないか?』

『あぁ、友達が防具屋やってるから聞いていみようか?』シルバーメイル

『ホントか!?ありがたい!』

オルデカはすぐに身支度と整えた。

『行こうか』

『どこに?』

『決まってるだろ。防具屋だよ。チラシ何部有る?』

『とりあえず50。』

『まぁそんなもんだろ。行くぞ。となり町だ。』

オルデカは昔、王宮の戦士だった。
公務員ではあるが向上心旺盛でどんどん出世し、若くして1つの班を任されるほどになった。

しかし班の上に位置する”隊”の長がいわゆる銀行からの天下り
若くてバイタリティのあるオルデカは早々に目を付けられていた。
そしてついこの前、クビになったのだった。

いまは無職だが、人望があるオルデカに友人は多い。
これから向かう防具屋の主人もそうだった。


防具屋の主人は、オルデカより1周りも上だが友達のように扱ってくれる。

『おお!オルデカ!相変わらずニートなのか?』

『ちょっとやめてくださいよぉ!起業準備中なんですから。』

2人の会話は、必ずこのようなやりとりから始まる。

『で、今日はなんのようだ?』

『こいつオレの友達でハリーっていいます。レベル10の魔法使い。
この前、魔法使い養成塾を立ち上げたんです。凄いやり手なんで、紹介したくって。』

『ほぉー!面白いことをやってるんだね。何か協力できることはあるかい?』

驚いた。あれほど門前払いされていたのに今度はトントン拍子で話が進んでいく。

いやそれどころではない。VIP扱いで話してくれる。

『チラシ?もちろんいいよ。好きなだけ置いていってくれ。』

50部置かしてもらうことにした。
そして丁重にお礼をし、防具屋を後にした。

『なぁハリー。やっぱりビジネスは人脈なんだ。』

本当にその通りだ。
ビジネスは人脈。心に強く刻まれていた。

『おーい!!ちょっと待て!』

防具屋の主人が追いかけてきた。

『はぁはぁ・・・』

(5分後)

『はぁはぁ・・・ふぅ・・・』

かなり体力がないようだ。体力がないから防具に興味があるのだろう。

『はぁはぁ・・・で、そのチラシ・・・はぁ・・・他の店にも置きたいんだろ?はぁはぁ・・・』

まだ息が整っていない。
『だったらオレ・・・はぁはぁ・・・防具屋連盟の理事をしてるから連盟のみんなに頼んでみるよ。

『ホントですか!?ありがとうございます!』

『チラシあと500部・・・はぁはぁ・・・持ってきてくれ・・・。じゃあ・・・はぁはぁ・・・頑張れよ。』

無事、店まで帰れるのだろうか。
彼の体力を心配しながらも、心から感謝した。

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